マイクロプラスチック

嬉しいことがいきなりやってくるとフワフワするんだね。

仕事場で「NPOの取材に行きなさい」といわれました。「アンタここね」と振り分けられたひとつが「チームくじら号」でした。

「チームくじら号」ってかわいい名前だなーと思いながらご連絡したら、代表の方が、しんかい6500に乗船されていた方と知って「どっひゃーーーー」ってね。何故どっひゃーかというと、私、JAMSTECのカレンダー捨てないで2004年から持っているかんじの、ほどほどのミーハーで、なので、微妙に地に足がつかない状態でフワフワとした気持ちで当日までの日々を過ごしていました。お会いしたのは午前10時から11時、短い時間でしたが、真夏日熱射の中、研究者の方々の想いに耳を傾けるというか、夢のような経験を積んだ方と言葉を交わせる、またとない(否、面白い人けっこういるので、わりとある)幸せ絶好調の時間を過ごしました。

場所:八景島海の公園内の砂浜(観察におこなわれた海岸は唯一の「自然海岸」とのこと)
なにをした:「東京の学校の授業サマープログラムで講師を務められるNPOの方々を取材」と称して、先生方に会いに行った

八景島海の公園内の砂浜

「写真は、学生さんがいらっしゃるので、記録されている写真を後ほど送っていただいてよいでしょうか?」とか言いながら、100パー楽しむ気まんまんで。しかも、実験の詳細も事前に資料をいただいていたし、おおむね暗記もしたつもりにもなっていて余裕まんまんで。

取材メモに「しんかい6500のメモ帳」を持っていきましたさ

メモ帳に記した「おおお」「ふむふむ」「なるほど」と思ったこと

目的はデータを取ること。採取箇所が4つ、海岸の面積が小さいこともあるので、本来であれば採取箇所はランダムに決めるものですが、今回は機関長(加藤先生)が指定したポイントを標本採取箇所としました。指定したポイントは、漂流物が溜まっている横のラインの、防波堤の間際から3メートルほどの間隔をあけて4箇所。(防波堤に近いほど、砂ではない篩(ふるい)にかかる物質が多くあったようです)

え、そんなんでいいの?って思ったのですが、結果採取されたものの量と採取物を目撃して初めて「なるほど!」と感心しました。

採取物の中には西之島の噴火による噴石もありますよ

...と、加藤先生のうれしそうに噴石を見る笑顔に、私もなんかうれしくなったりして(参考:西之島の記録 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm

漂流物に稀にある注射器は注意してください。医療廃棄物の不法投棄や海岸なのでジャンキーなんかも… 

ジャンキー?!

科学を英語でおこなう授業は10年以上前からおこなわれており、チームくじら号にプログラムをお願いしたのは数年前から。今回は5日間のサマープログラムで、校内の学生希望者が参加しています。と、学校の先生にうかがいました。

そうなんです。今日のプログラムは【すべて英語で】なのです。テキスト資料も英語だったんですよお。翻訳しましたよお。行きの電車の中でも予習しましたよお。まさかの自己紹介なんかをふられた場合のことも考えて、作文もしてきたりもしたんですよお。

マイクロプラスチックのサイズの定義は5ミリメートル以下のもの。これは、プラスチックペレットの大きさ(5ミリメートル)によるものです。プラスチックペレットが世界中の海や川で目立つようになったことから、なんだなんだと研究者が調査にのりだしました。そうしたら、細かいプラスチックの存在が明らかになり、「マイクロプラスチック」の定義ができました。

プラスチックペレットとは、プラスチックの加工製品を作るための成形原料のこと。世界中の各地に工場があることから世界中の海や川を漂流しています。大雨のときには多く工場から漏出する傾向があるようです。

環境庁がすすめるマイクロプラスチックの調査方法は専門的で難しいので、チームくじら号では、市民にもできる方法、100円均一店で売っているもので実験ができるようにアレンジしました。

標本調査「コドラート法」25cm角の枠は、塩ビパイプで作られていてこどもたちも扱いやすそうでした。

全国の海岸のデータを集めれば、より正確なデータとなります。研究はみんなで力をあわせておこなうものです。例えば、「海洋ゴミの調査を行うからみんな集まって」とボランティアを募るとします。研究のお手伝いとあれば、諸外国ではあっという間に人が集まります。残念ながら、日本はそういうところが遅れています。

日本は「モラル」に頼りすぎています。大人のほとんどの人は、「目に見えないマイクロプラスチックがそこらへんを飛んでいること」を知らないんです。「危険」と安易に言うことのほうが危険なことです。

「モラル」とは、人の目を気にする考え方のほかに良心だったり慣わしだったり一見根拠がありそうなんだけど、よく考えると「ん?」って思うことばかりなので、みんなもっとよく考えたほうがいいよって思います。男性女性問わず年配の方に多いので、私もそろそろヤバいです。気をつけようね!

のっぽさん(『できるかな』)の言葉が好きです。「こどもはなんでも知っている」まさにそのとおりなのかもしれません。(←亀山先生談)大人はこどもにモラルをおしつけてはいけない。大人はこどもの言うことにもっと耳をかたむけなければいけないね。

マイクロプラスチックの主な源はゴミ集積所です。海岸の掃除を行なっても集めたゴミはゴミ集積所に持っていくんですよね。

プラスチックゴミで一番多いのはタイヤ。ここにあるマイクロプラスチックも数日中に海の深いところに流れて人間の目にふれないものになります。

深海の話! もっと聞きたい! 聞かせてくれーー!(←先生がたの言葉をひとつのこらず聞き逃したくない思いいっぱいで、発言を控えていた私のこころのサケビ)あっという間の1時間でした。

日本中の人に今日のことを呼びかけてください。全国のひとたちが調査をして全国のデータが集まったら、それは素晴らしいことです。科学に貢献することにつながります。

学生たちはこの後、学校に帰り、海岸で標本採取し選別したマイクロプラスチックの量と比重、顕微鏡観察、AIを使った調査の講義を受けます。この授業、うらやましいぜ・・・。

<ありがとうございます!>

機関長 加藤千明さん(NPO法人チームくじら号)
甲板長 亀山豊さん(NPO法人チームくじら号)
授業サポート「海洋ごみAI」の研究者 日高さん(JAMSTEC)
サマープログラムに参加した生徒たちと先生がた

参考

本日のおことば

ザリガニはパエリアに入れると美味しい(亀山先生談)


後日・・・

7月29日、チームくじら号による報告がfacebookで更新されました。

フィールドから戻った学生たちの教室での授業が詳しく知ることができて嬉しいです。
あらためて思います。この授業、うらやましいです・・・

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