2010年 5月 横須賀市立市民活動サポートセンターで、学生を対象にした講習をおこないました。これは、その準備資料としてまとめたものです。
今となっては、古い情報ですので「へ〜。あーそーなんですか〜」程度の参考としてください。
この後、2010年8月にWebアクセシビリティJISが改定しています。
【ユーザビリティ】
所定の目的が達成でき、そのために要したさまざまな資源が少なく、しかも完了する上で不満・不快を感じることが少ない場合には、そのソフトウエア(或いは作業システム)の使用性は高い。
すなわち、ユーザビリティが高いと評価される。
▼国際規格が定義する「ユーザビリティ」
国際標準化機構(ISO)International Organization for Standardization
最終国際規格案(FDIS)Final Draft International Standard
国際規格(IS)International Standard
ISOで作成される国際規格は、CD(Committee Draft:委員会原案)を経た後、DIS(Draft International Standard:国際規格原案)となり5か月の間回付されます。その後FDISが発行され、2か月間の投票期間を経て承認された後にIS(International Standard:国際規格)として正式に発行されます。
主な参加機構)
日本 日本工業標準調査会 (JISC)
英国 BSI
ドイツ DIN
フランス AFNOR
中国 国家標準化管理委員会(SAC)
米国 アメリカ規格協会 (ANSI)
<例>
● ISO 9241(オフィスワークに関する人間工学的要求)
Ergonomic requirements for office work with visual display terminals
ISO-9241は, VDT (Video Display Terminal)を利用したオフィスワークに関する人間工学的要求についての国際規格であり, 17パートで構成される。前半部がハードウエア, 後半部がソフトウエアを規定している。
ISO 9241-11
「Extent to which a product can be used by specified users to achieve specified goals with effectiveness, efficiency and satisfaction in a specified context of use.」(特定の目的を達成するために、特定の利用者が、特定の利用状況で、有効性、効率性、そして満足とともにある製品を利用することができる度合い。)
●ISO 13407(インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス)
Human-centred design processes for interactive systems
使用状況の理解と明示
ユーザーと組織の要求事項の明示
設計による解決策の作成
要求事項に基づく設計の評価
●ISO 16982:2002(人間とシステムのインタラクション?人間中心設計のためのユーザビリティ評価手法)
Ergonomics of human-system interaction -- Usability methods supporting human-centred design
●ISO 9126 または、ISO 25000:2005(ソフトウェアの品質を評価するための規格)
Software Engineering -- Software product Quality Requirements and Evaluation
【アクセシビリティ】
(Adobe micromedia提供「アクセシビリティとは」より)
http://www.adobe.com/jp/macromedia/accessibility/508standards.html
http://www.adobe.com/jp/macromedia/accessibility/gettingstarted/accessibility.html
▼アメリカの第508条
2001年 6月21日以降、 アメリカのすべての連邦機関に、リハビリテーション法第508条 (Section 508 of the US Rehabilitation Act) を遵守したアクセシブルな Web サイトを提供することが義務付けられました。
アメリカ国内法と国際規格 : 第508条と W3C ガイドライン
アクセシビリティポリシーは、国によって違いますが、EU を含む多くの国では、World Wide Web Consortium(W3C) の Web Content Accessibility Guidelines(WCAG) に基づいた規格を採用しています。アメリカの リハビリテーション法第508条 では、連邦政府が管理する Web コンテンツは、障害者にもアクセスできるものでなければならないと定められています。この法律は、W3C の優先度 1 のチェックポイントを基準に制定されたものです。
日本のみなさんは、第508条がおおむね W3C の優先度1に相当するものと考えて下さい。第508条とW3Cの優先度1には若干の違いがあり、実装のためのアプローチも異なりますが、チェックポイントはほとんど同じです。
連邦政府の義務 : 第508条の基準
リハビリテーション法の第508条は、障害のある人が利用できない電子情報技術の購入、開発、保守管理を連邦政府機関が行うことを禁じています。第508条は 14年以上も前に制定された法律ですが、1998年に総労働力投資法 (Workforce Investment Act) が議会を通過するまではほとんど進展がありませんでした。これは、法律の規定が遵守されなかった場合に、公的機関や政府機関で働く障害者が、連邦裁判所に対して不服を申し立てる権利を認めた法律です。
連邦機関のWebサイトは、2001年 6月21日をもって第508条に完全準拠することと定められました (この法律は民間企業の Web ページには適用されません)。特に、この法律では、電子情報技術の開発、調達、保守、使用を行うすべての連邦機関は、その技術が職員および一般国民にとってアクセシブルであることを保証しなければならないとされています。改正508条の規定は次のようになっています。
「…電子情報技術を利用することで、障害のある連邦政府職員が、障害のない職員と同等に情報やデータにアクセスして利用できるように、過度な負担がかからない範囲で…」全文は、http://www.justice.gov/で閲覧できます。
第508条には、次のような規定もあります。
「…連邦政府機関の情報やサービスを求めている一般の障害者が、障害のない国民に提供されるのと同等な情報やデータにアクセスして利用できるように、連邦機関に過度な負担がかからない範囲で、…」 全文は、www.usdoj.gov で閲覧できます。
第508条は、連邦機関に法的手段を適用する一方、政府の購買力を利用して、アクセシブルな製品を生産するよう企業に圧力をかけます。第508条の規定は、連邦調達規則 (Federal Acquisition Regulation) など、政府の購買活動に適用される法律にも順次採用されていくとみられます。端的に言えば、企業は、アクセシビリティ基準を満たしていないソフトウェアやハードウェアを連邦政府機関に販売することができなくなるということです。
連邦機関は 2年以上にわたり、完全にアクセシブルな連邦Webサイトの実現に向かって努力してきました。第508条に関する研修や技術支援を行うため、連邦アクセス委員会 (Federal Access Board) と一般調達局 (General Services Administration) は、FITAI (The Federal Information Technology Accessibility Initiative)を設立しました。FITAI の Web サイトは、この問題に関する情報のゲートウェイになっています。次にご紹介するのは、第508条の Web アクセシビリティ関連条文に対する、FITAI の見解です。
Web 形式で配布されるイントラネットとインターネット情報およびアプリケーション (1194.22)
Web ベースの技術情報に対する基準は、W3C の Web Accessibility Initiative によって策定されたアクセスガイドラインを基本としています。このガイドラインには、さまざまなアクセス支援製品 (コンピュータのディスプレイに表示されるコンテンツを自動音声出力するスクリーンリーダーや、リフレッシュ機能のある点字ディスプレイなど) を利用する視覚障害者がコンピュータ情報にアクセスできるようにするための規定が多数盛り込まれています。グラフィックや、フレームなどのフォーマット手段に対して、説明用のタグや識別手段を用意するなどの約束事は、これらのツールが、ユーザーが理解できるように「読み上げる」のに必要なものです。
第 508 条の基準は、Web サイトにおけるグラフィックやアニメーションの使用を禁止するものではありません。これらの情報がアクセシブルなフォーマットでも利用できるようにすることを求めたものです。これは、一般的には、グラフィックやある種のフォーマット要素に説明用のテキストラベルを付けることを意味します (HTML コードには、グラフィックを言葉で説明する代替テキスト用のタグが用意されています)。また、このセクションでは、マルチメディアプレゼンテーション、イメージマップ、スタイルシート、スクリプト言語、アプレット、プラグイン、電子フォームなどのユーザビリティについても言及されています。
ビデオまたはマルチメディア製品 (1194.24)
マルチメディア製品とは、ビデオプログラム、ナレーション付きスライド、コンピュータによるプレゼンテーションなど、複数のメディアが関係するものです。この条文では、13インチ以上のディスプレイを備えたシステムにキャプションデコーダー回路、テレビチューナー (コンピュータに搭載するチューナーカードを含む) には副音声チャンネルの搭載を義務付けています。また、連邦機関が制作する一部のトレーニング用および情報提供用のマルチメディア製品に、キャプションと音声の説明を追加することや、視聴者が自由にこれらのキャプションやビデオ説明機能をオン/オフできるようにすることについても規定しています。
▼企業の取り組み
「Apple Human interface guidelines」では英文ですが、ボリュームの大きい指針と規定が公開されています。
「Mozilla アクセシビリティプロジェクト」(ex.FireFox)
▼アクセシビリティチェックツール
富士通アクセシビリティ・アシスタンス
http://jp.fujitsu.com/about/design/ud/assistance/
視覚障がい者や色覚障がい者のアクセシビリティを高めるための診断ソフトウェアツール
FireFox用アドオン「Firebug」
Webページの CSS、HTML、及び JavaScript をリアルタイムに編集、デバッグ、またはモニタすることが出来ます