池上に田んぼができたという話はちらほらと、うかがい知っていたのですが、
ちょっとよいきっかけ(※)があり、
横須賀の池上、妙蔵寺に行き、副住職にお話をおうかがいすることができました。
妙蔵寺は、山奥ではなく、アスファルトの大きい道路から少し入ったところにあります。
中庭の人工的な風景の中に、いきものの気配が濃密で、たいへん驚きました。
緊張していたからかもしれません。
その日はたまたま、よい風が吹いていただけなのかもしれません。
いえいえ。それには、ちゃんと理由がありました。
2014年6月20日 正午ごろ
瓦屋根の反りがとてもきれいで印象的な本堂
鬼瓦がかっこいいです。
平成18年に葺き替え工事をおこなった本堂の瓦
鬼瓦は、静岡の藤枝で作られたそうです。
妙蔵寺の湧き水
庫裏の中へとおしていただき、中庭を望むお部屋に案内されると、
池のある美しい庭と、こんこんと流れ出る水の風景が、目に飛び込んできます。
大きい池の水量は、およそ60トン。
池の浄化ポンプからの排水は一日約1トンなので、同量の湧き水があるのではないかとのこと。
この湧き水は、平作川主流の源流のひとつとなっています。
敷地の自然環境
中庭は生物たちが活き活きとにぎやかなので、お話をうかがっていた90分の間、目が離せませんでした。
まるでテレビのネイチャードキュメント番組のようで...
エサになる小さい虫を取っているのでしょうか、気持良さそうにツバメが飛んでいます。
風で山の木々が鳴り、水の音、コゲラの声、
シジュウカラの親子がさえずりながら庭の木々にとまりわたって長い間、遊んで(?)いました。
5種類のトンボを見かけました。
猫が一匹、中庭をのんびり横切って行きました。
人間の子どもが、ご挨拶にきました。(副住職の娘さんです 笑)
副住職のお話
(田んぼを作られたことについて、お話をうかがいました)
ずいぶん前からそのようなことがなくなり、山の整備は滞っていました。
9年前、当時大学生だった天白牧夫さんから、
環境に関するフィールドワークのために、力を貸してくれないかと話がありました。
現在は彼が関わっている、NPO法人三浦半島生物多様性保全の方々や、大学の生徒さんも加わり、
荒れてしまった林の再生の研究に、寺の敷地は活躍しています。
竹と竹の間隔は傘をさして歩けるくらいが丁度よいといいます。
竹林は放っておくと竹が密集し過ぎて、なにも住めない場所になってしまうため、竹林も整備をおこなっています。
(伐採した竹は、様々に利用しているそうです。
山門から本堂への参道脇の竹がきも手づくりでしょうか、なんともしっとりとした風景を感じます。)
昔は田んぼがたくさんあったはずの衣笠から平作、池上に、小さいですけど水田ができました。
季節になるとカエルの声も聞こえます。
私たちもお米づくりからたくさんのことを学ぶことができました。
「自然」のことを英語で「ネイチャー」って言います。
あまり人間が介入していない印象のある、西洋の自然への考え方と違って、
日本人の「自然」という言葉の感覚には、
人間の生活が、木や植物、生き物にたずさわって活動するイメージが色濃いんです。
「自然」という漢字には、自分の「自」が含まれていますでしょ。
天白さんの考える、自然との共生という考え方に共感しています。
「保護」とか「保全」などという言葉以前に、
虫や鳥がいないとさみしいです。
今では希少になってしまった生物を、後世の子供たちに「いっぱい穫ってもだいじょうぶだよ」って、いつか言えるようになれば嬉しいですね。
(他にもいろいろお話してくださったのですが、メモしたことを記しました)
さいごに
「自然保護」「環境保全」は、考え方も方法も人それぞれ、ひごろの意識もみんな違います。
なにもしないことで、良い環境が守られるわけではありません。循環を考えずに「殺すのはかわいそう」にとらわれるのは保護ではありません。
じゃあどうしたらよいの?
考える事をやめなければ、難しいことも正解に近いものは出てくるんだって思います。
今回、お寺に行ってよかったです(^_^)
お忙しい時間に突然訪問してしまいましたが、とても丁寧にお話をしてくださいました。妙蔵寺さま、ありがとうございました。
妙蔵寺では夏に「大声大会」というイベントを開催します。
斬新な企画と目を引くポスター、2014年 のキャッチコピーは『「117.2db」超えるのはだれだ?』シビれます!
くわしくは
⇒ よこすか 大声大会